Fumifumi談義~ビストロとワイン~

20代の頃、フランス料理について書かれている本に興味がありよく購入したものです。

当時の愛読書は大阪・あべの辻調理師専門学校の創始者である故・辻静雄先生の著書でした。

『フランス料理の学び方』、『フランス料理の手帳』、『パリの居酒屋びすとろ』、『パリの料亭(レストラン)』、『料理人の休日』などは何回も読み返しました。

ワインの勉強を始めてからは、本の中に書いてある料理とワインの組み合わせがあこがれの存在に。

『パリのレストラン、タイユヴァンでエビのビスク(エビの殻を叩き潰したものでだしをとったスープ)を注文したとしよう。

ぜいたくをいえばきりがないが、シモン先生なら、その昔1875年にびん詰をしたアモンティヤード(シェリー)をご注文なさるにちがいない。

その次に、仔羊のキャレ(背肉のステーキ)を命じられたのなら、きっと1911年のクロ・ドゥ・ヴージョをソムリエにいいつけられるにちがいない。

サラダのあとにチーズ・スフレとお考えになるとすれば1911年のロマネ・コンティをご所望されるにちがいない。』

辻静雄『フランス料理の手帳』1971年 鎌倉書房

知らないということは幸せなことで、いつかこのような料理とワインのマリアージュが出来ると信じていました。

『パリの居酒屋びすとろ』を読んだ時には、『ビストロというものはまずなによりも、アルコールを主体にした液体を飲む場所、あるいは味わい飲むことのできる場所です。』という文章に惹かれ、高級なレストランも良いけれどパリでビストロ周りをしてみたいと思うようになりました。

この本には当時人気のあった31軒のビストロで飲めるワインの銘柄が書いてあります。

ロワール地方のミュスカデ、サンセール、プイィ・フュメ、アンジュー・ロゼ、シノン、ブルグイユ、アルザス地方のリースリング、ゲヴュルツトラミネール、シルヴァネール、サヴォワ地方のクレピー、ブルゴーニュ地方のアリゴテ、マコン、ボージョレ、ローヌ地方のサン・ペレイ、南西地方の甘口モンバジャックなど、ワインの勉強には欠かせない銘柄ばかりですが、特にボージョレ地区のワインが多く掲載されていました。

料理やチーズとの組み合わせを抜粋すると、仔牛料理のポーピエットにブルイイ、鶏料理のプーレ・ヴァレ・ドージュにジュリエナかフルーリー、チーズのブルー・ド・ブレスにフルーリーかシェナ、チーズのグリュイエールにはモルゴン、ムーラン・ナ・ヴァン、山羊チーズのサン・マルスランにジュリエナ、ブルイイ、ムーラン・ナ・ヴァンなどが挙げられています。
CHATEAU DES JACQUES MOULIN-A-VENT 1997
そういえば、ビストロをテーマにしたこの本にはいわゆる高級ワインの銘柄はほとんど登場しません。

ワインを勉強すると、ブルゴーニュ地方の特級畑のワインやボルドー地方の高級シャトーばかりに目が行ってしまいがちですが、気軽に入れる小さな大衆レストランのビストロには高級ワインは必要ないのかもしれませんね。

ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日が目の前ですが、私は新酒ではない普通のボージョレに日常的なお惣菜やチーズを合わせることに興味津々な今日この頃です。


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