先日、このようなニュースが目に留まりました。
スペインの“Espadafor”という会社が販売している「Champin」という子供向けソーダが、フランスのシャンパーニュ委員会に訴えられたのですが、3月7日の判決でシャンパーニュとは無関係であるとスペインの会社に勝訴の判決が下されました。
ChampagneとChampinの名称が酷似していることで、シャンパーニュ産と誤解を招くというシャンパーニュ委員会の訴えが覆されたのです。
ちなみに、このソーダはイチゴの香りで価格は3ユーロ前後の清涼飲料水です。
シャンパーニュ委員会は世界で最も商標権の保護に熱心な生産者団体で、ブランドの名前が「Champagne」に似ている化粧品やファッション関係、そのほか様々な製品にも名称の乱用について目を光らせています。
警告を発し訴訟を起こしたりする場合もあり、示談による解決もあれば、やむをえず法的な処理になる案件もあるようです。
さて以下は、シャンパーニュの名称についての警告や訴訟の一部の事例です。
「色」、「水」、「香水」、いずれもシャンパーニュのキラキラと輝くイメージにぴったりだと個人的には思うのですが。
・シャンパーニュ・カラー
アップル社が新製品のiPhone5sの販売に際して色の名称を「シャンパーニュ」または「シャンパーニュ・ゴールド」と呼ぼうとしたのですが、反対されたため「ゴールド」になったという話があります。
ただ、販売前に「シャンパン・ゴールド」と呼んでいたのはメディア関係だったらしく、商標などの問題を避けるためにアップル社では正式にこの呼び方を採用しなかったと言われています。
・ミネラル・ウォーターのキャッチフレーズ
アメリカのビバリー・ヒルズ・ドリンク社の高価なミネラル・ウォーター「ビバリー・ヒルズ 9OH2O」を「シャンパーニュ・オブ・ウォーターズ(水のシャンパン)」というキャッチフレーズで売り出しましたが、シャンパーニュ委員会の警告を受けて、このフレーズの使用を中止しました。
・香水の名前
「シャンパーニュ」という名前を香水に付けたイヴ・サン・ローランが訴えられました。敗訴したサン・ローランは香水名を「イヴレス」と改めました。
イヴレス(Ivresse)の意味は「酔い」や「酩酊」なのですが、Yves Saint Laurentのアルファベットにひっかけて考えたそうです。
3つの事例だけ挙げましたが、このほかにも「シャンパーニュ」の名前をつける必要がないと思われるものが沢山あることも事実です。
名称の使用に関して規制が厳しくなるのは仕方がないことなのかもしれません。
でもフミエールの名前が世の中に氾濫したら、私はうれしいけれどな~。
文:宮川文子