大好きな本は?
愛読書は?
と聞かれたら迷うことなく「エリゼ宮の食卓」(新潮文庫刊)、「ワインと外交」(新潮新書刊)と答えます。
この本の著者は西川恵氏。
長崎県生まれで少年期をパリで過ごし、1971年東京外国語大学中国語学科を卒業後、毎日新聞社に入社、後にローマ支局長を務められた素晴らしい経歴の持ち主です。
「ワインと料理の世界」と「外交政治」をひとつの世界に融合させた究極のおもてなしが書かれたこの本は何度読んでも勉強になりました。
『饗宴は外交の需要な道具立てである』
『饗宴のテーブルは時に表向きの言葉よりも雄弁に本当の外交関係を物語る』
私は社会の先輩方々に向けてお話をさせていただくときはこの本を大いに活用しています。
先日、私の目標でもあり尊敬してやまない方のご自宅にお招きいただき、感動のおもてなしを受けました。
お料理もワインも言葉では言い尽くせないほど素晴らしいものでした。
その日はワインスクールの授業が終わりその方のご自宅に直行したのですが、遅いランチくらいの時間だったのでお腹がペコペコでグルグル鳴るほどでした。
まずはシャンパンで乾杯、最初に出していただいたお料理は「粽(ちまき)」です。
「温かいものをまず食べてちょうだい」と促されるまま食べたのですが、ササの葉で三角に包まれた手作りの粽は私の人生の中で一番美味しい粽でした。
「お腹がきっと空いているはず、温かいものでホッとしてもらおう」という優しい気持ちが詰まっているような気がして鳥肌が立つくらい感動してしまいました。
そして、これはまさしく「懐石の心」と勝手な想像を膨らませました。
修行中の禅僧が寒さや空腹をしのぐ目的で温石を懐中に入れたことから、客人にもてなしたいが食べるものがなくせめてもの空腹しのぎにと暖めた石を渡し客の懐に入れてもらったとする究極のおもてなし。
このおもてなしの延長線上に人と人との心の外交があるのだと感じました。
素晴らしい経験をさせていただき私もこんな女性になれるよう努力したいと心に誓いました。
でも誓っただけではダメですよね!実践しないと!