「ワイン会を開催します!ワイン一本ご持参ください。」
ワインスクールの入門講座に通い始めて間もなくワイン会がありました。
初めてのワイン会、悩みに悩んでシャトーヌフ・デュ・パプの白ワインを持参しました。
シャトーヌフ・デュ・パプはフランスの南に位置するコート・デュ・ローヌ地方のワイン。
サン・ベネゼ橋で有名なアヴィニョン郊外のローヌ河左岸に広がる一帯がワイン生産地になっています。
赤ワインと白ワインの生産がワイン法で認められていますが、赤ワインの生産比率が多く、白ワインはごくわずか。
「白ワインが少ないのか!珍しいかも?」と思い、ワイン会に持っていきました。
ワイン会に参加していた講師の方に
「シャトーヌフ・デュ・パプといえば赤ワインが有名なんですよ。上のクラスでもっと勉強しなきゃ!」
と言われ、なぜ白じゃダメなのか意味が分からなかったのですが、心がザックリ傷つきました。
でも、立ち直りが早いのが私の取柄、次回のワイン会でリベンジしようと思い、大・大・大奮発をしてブルゴーニュの高価な赤ワインを購入しました。
その当時はワインの知識が乏しく、ワイン名はうっすらとしか覚えていないのですが、ブルゴーニュ地方ジュヴレ・シャンベルタン村の1級畑、年号は1970年代半ばくらいだったように記憶しています。
でも造り手はハッキリとビジュアルで覚えています。薄黄色のラベルが印象的なルイ・ジャド社のワインでした。
次の会に自信満々でワインを持って行きました。
講師の方がラベルを見て「ルイ・ジャドのプルミエ・クリュ、すごいね!」とほめてくださった後、飲んだ感想は「ちょっと過ぎているかな?」でした。
「過ぎている」の意味がまったく分からないまま、言葉のニュアンスで何となくダメなのかと思い、心が粉々になりました。
私が飲んだ感想は、入門講座レベルのコメントですが、「一見たよりないけど香りが華やかで、アメリカみたいに濃くはないけれど旨味がある」と思いました。
ここまで私の文章を読むと、その当時の講師の方がとんでもなく悪者になっていますが、私の理解度が足りなかったせいで間違った解釈をしているかもしれません。
ただ、当時は入門講座に通い始めたばかりの生まれたてのヒヨコ。そういう風にしか理解が出来なかったのです。
今は立派なニワトリ(笑)に成長しているので、シャトーヌフ・デュ・パプの白にしろ、ルイ・ジャドの赤ワインにしろ、タイムスリップして当時のワイン会に参加出来たらもっと意見が言えるはず。
「確かにシャトーヌフ・デュ・パプは赤ワインのほうが有名で生産量が多いかもしれませんが、造り手を選ぶと、とてつもないワインに当たることがあるんですよ。
例えば、シャトー・ライヤ、ドメーヌ・デュ・ペゴー、シャトー・ド・ボーカステルなど。
白ならではのオススメの飲み頃は、2~3年内に飲んでフレッシュさを楽しんだり、10年くらい熟成させて複雑さを味わったり。
どちらも美味しそうですよね。」
「ルイ・ジャドの赤はこのうえなくしっかりしていながら、たいへんしなやかで、やわらかな果実味をあわせもっていると私は思います。
このワインは確かに熟成していますが心地よい滑らかさが好きです。
それよりも、ルイ・ジャド社のワインはラベルにギリシャ神話のワインの神バッカスがデザインされているのでわかりやすいですよね。
実は、特級畑でも、地方名でも、ワインの格に関係なく同じラベルにしている理由があるそうです。
それは、すべてのワインは同等の価値があるということ、そして同じ熱意を持ってワインを造っているということだそうですよ。」
ワイン会に持参するワインは、それぞれの思いがこもったワイン。
1本、1本大切に飲むように心がけたいと思います。