私がワインの勉強を始めたころ、一度は飲んでみたい憧れのブルゴーニュワインは沢山ありましたが、その中でも、頭文字のLをとってブルゴーニュの3L(スリーエル)と呼ばれた、ルイ・ジャド、ルイ・ラトゥール、ルロワは特別な存在でした。
そんな憧れの造り手 ルイ・ジャドのメーカーズ・ディナーを主催できる日が来るとは30年前の私には想像もつきませんでした。
2月23日に開催したルイ・ジャドのメーカーズ・ディナーでは以下のワインを第1フライト、第2フライトに分けてテイスティングしました。
まず、乾杯のシャンパンからスタート!
CHAMPAGNE CHARLES HEIDSIECK BRUT RÉSERVE
シャンパーニュ シャルル・エドシック ブリュット レゼルヴ
第1フライト
1.2013 Chassagne-Montrachet (Blanc) Louis Jadot
シャサーニュ・モンラッシェ(ブラン) ルイ・ジャド
2.2011 Savigny-lès-Beaune La Dominode Domaine Louis Jadot
サヴィニー・レ・ボーヌ プルミエ・クリュ ラ・ドミノード ドメーヌ・ルイ・ジャド
第2フライト
1.2002 Moulin-à-Vent Château des Jacques
ムーラン・ア・ヴァン シャトー・デ・ジャック
2.2001 Moulin-à-Vent Champ de Cour Château des Jacques
ムーラン・ア・ヴァン シャン・ド・クール シャトー・デ・ジャック
3.2006 Morgon Côte du Py Château des Jacques
モルゴン コート・デュ・ピィ シャトー・デ・ジャック
4.1997 Moulin-à-Vent Clos des Thorins Château des Jacques
ムーラン・ア・ヴァン クロ・デ・トラン シャトー・デ・ジャック
5.1997 Moulin-à-Vent La Roche Château des Jacques
ムーラン・ア・ヴァン クロ・デ・トラン シャトー・デ・ジャック
第2フライトのクリュ・ボージョレの美味しさはお墨付きです。
20年経過の1997年ヴィンテージは、ガメイという品種の枠を超えて言葉では言い尽くせないほど魅力的なブルゴーニュワインに変身していました。
参加されていた方の中にルイ・ジャドのシャトー・デ・ジャックを訪問、リリースされたばかりの1997年ムーラン・ア・ヴァンをテイスティングした経験をお持ちの方がいらっしゃいました。
その当時とはまったく違う味わい、あのワインがこのように熟成をするのかと感動されていました。
第1フライトの白、シャサ―ニュ・モンラッシェは魅惑的な樽の香りに包まれた品格のあるシャルドネでした。
リーデルのグラスから放たれる香りにノックダウンです。
赤の2011年サヴィニー・レ・ボーヌ プルミエ・クリュ ラ・ドミノードはこのワインを供出すると決めた時から、しっかりとテイスティングして品質を見極めようと決めていました。
理由は、私はサヴィニー・レ・ボーヌに対して、本の影響を受け、当初以下のような記述のイメージを持っていたからです。
「ペルナン・ヴェルジュレスとボーヌとの間にはさまれて、ワインづくりの小村サヴィニイ・レ・ボーヌがある。〔中略〕このワインは、はるか昔に非常に高く評価されたが〔中略〕その後しだいに影を薄くしていった。まぎれもない軽さと高い方向をもつワインだが、とにかく長持ちしない。」
<参考文献> アレクシス・リシーヌ『新フランスワイン』柴田書店、初版発行1985年
「ルイ・ジャドの白のサヴィニー・レ・ボーヌはすばらしい個性を持ち、みごとである」と書いてある別の本もありましたが、赤ワインには触れていません。
ですが、実際にルイ・ジャドのサヴィニー・レ・ボーヌを飲んでみると目からウロコが落ちる感動的な味わいでした。
20年位保存しても楽しめる長熟なワインです。
ボーヌ村との国境に近いラ・ドミノードは、1989年からルイ・ジャドが所有している畑です。
ビオディナミ農法を導入していますが、ルイ・ジャドではビオディナミ農法を行っていてもラベルに表記することはありません。
ビオディナミ農法を行うのはより良いブドウを収穫するためであって、ワインの宣伝文句にするためではないという考え方だそうです。
1859年創業158年の長い歴史の中で変わらないものは、ぶどうが植えられている土地を大切にし、どこの畑のぶどうであっても平等に、細心の注意を払ってワインを造る姿勢。
そして、伝統に甘んじて保守的になるのではなく、ボーヌ周辺など一部の畑でのビオディナミ農法の実践、1997年にはボーヌ郊外に最先端の設備を備えたラ・サブリエール醸造所を設立、2008年にはコート・シャロネーズのジヴリにブルゴーニュ・ジェネリック専用の醸造施設が完成しています。
ルイ・ジャド社はワインの品質をさらに高めるために、今後も新たな進化を続けていくことでしょう。
是非、ルイ・ジャドのワインをじっくり飲んでみてください。
「百聞は一見に如かず」
飲んでみなきゃわかりません!