「私が知っているシベで今までに一番美味しいと思ったのは1945年のオーブリオンを1958年に使って作ったものである」
フランスの料理人レイモン・オリヴェ(Reymond Oliver・1909~1990)の言葉です。
4代続く料理人の家系に生まれたオリヴェ氏はフランスのパレ・ロワイヤルにあるレストラン「ル・グラン・ヴェフール」のオーナーシェフでした。
遠い昔、人間は火を起こすことを覚えてから肉や魚を炙って調理するようになりました。
そして、発酵による味の変化を偶然知り、ワインやビール、パンなどが誕生します。
中世へと時代が移ると、フランスでは王族や貴族の居城で催される晩餐会文化が花開きます。当時は冷蔵技術が無いため、肉や魚の腐臭をごまかす香辛料がたくさん使われ、仕上げに酢を加えた酸味のあるソースがかけられました。
その後、素材に旨味を添えるフォン・出し汁が生まれ、香辛料に代わってハーブやキノコの風味を生かす調理が始まります。
主に魚や肉に使用されるソースはフランス料理の特徴を決める重要なものとなりました。
レストランの厨房を預かる料理人たちの中でもソース作りはコック長かその右腕となる料理人の重要な仕事です。
クラシックなフランス料理にソースなしの料理は考えられないといわれるほどです。
料理人レイモン・オリヴェ氏によると3つのソースを応用するとすべてのソースが作れるとか。
乳化状のマヨネーズのようなアルマンドソース、トマトを用いたデミグラスに代表されるエスパニョールソース、小麦粉をつなぎとしたホワイト系のベシャメルソース。
現在では、色々なアレンジが加えられ料理人の数ほど種類があるといわれているソースは、フランス料理の主役といわれるほど大事な役割を担っています。
6月21日(木)にワインサロン フミエール主催、ニュージーランドで活躍されている日本醸造家・小山竜宇氏をお招きしてのメーカーズディナーを開催しました。
会場は渋谷4丁目の閑静な住宅街に佇む一軒家レストラン「ロアラブッシュ L’eau à la bouche」。中嶋寿幸シェフにお願いをして、小山氏が手掛けるワインを特別にソースに仕上げていただきました。
魚料理の「サーモンのミキュイ 白ワインとバターのソース オゼイユの香り」には「マウントフォード・シャルドネ」を3本、「牛モモ肉のグリエ ジャガイモのガレット添え 赤ワインソース」には「ピアソンズ・ヴィンヤード・ピノ・ノワール」を3本使用しました。
美味しいものを美味しく「飲んでほしい」「食べてほしい」と思う小山氏と中嶋シェフの情熱がぶつかり合った最高のペアリング。
「私が知っているワインと料理の組み合わせで、小山氏のワインとそのワインを使った中嶋シェフの料理が一番記憶に残っています」と言いたいくらいの美味しさ&感動でした。