ある本にシャトー・シュヴァル・ブランのマグナム(1,500ml)についてこんなことが書いてありました。
「シュヴァルの1947年のボトルを見かけたら、絶対に手に入れてください。まだ50年はもちますから」1975年当時のお話なのですが、50年後といえば2025年、世界中のどこかにきっと存在しているはずです。
80年経過のシャトー・シュヴァル・ブラン、飲んでみたい!
シャトー・シュヴァル・ブランの生まれ故郷は、フランスのボルドー地方に位置するサン・テミリオン。
赤い瓦屋根と細い曲がりくねった石畳の路地が中世の雰囲気を漂わせる美しい街です。
1999年にワインの生産地としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。
赤ワインのシャトー・シュヴァル・ブランが、シュヴァル=馬、ブラン=白、白い馬と名付けられた理由は16世紀ブルボン王朝の頃に遡ります。
宗教戦争を終結させたアンリ4世が白い馬に乗ってシャトーの前身であった宿場に立ち寄り、ワインを楽しみながら一夜を過ごしたのが名前の由来となったそうです。
先日、2012年ヴィンテージのシャトー・シュヴァル・ブランとセカンド・ワインのル・プティ・シュヴァルを飲み比べる機会に恵まれました。
とても柔らかくホッとする旨味が口いっぱいに広がるル・プティ・シュヴァル。
シャトー・シュヴァル・ブランは、凝縮感、タンニン、旨味がル・プティ・シュヴァルよりも勝っていましたが、まだまだ硬さがあり10年後にもう一度飲んでみたいと感じる味わいでした。
2012年のボルドー地方はブドウの成熟が遅かったため、カベルネ・ソーヴィニヨンよりも早熟なメルローが成功した年です。
ワイン評論家の間でも「メルローの年」と評価され、メルロー主体の右岸に注目が集まりました。
シャトー・シュヴァル・ブランの主要品種カベルネ・フランはカベルネ・ソーヴィニヨンに比べて渋味成分のタンニンと酸味が軽やかでワインに品格を与えます。
早生品種のメルローのふっくらしっとりとしたニュアンスと重なり合うことで長い余韻をかもします。
2012年のシャトー・シュヴァル・ブランのブレンド比率はメルロー49%、カベルネ・フラン48%、カベルネ・ソーヴィニヨン3%、ル・プティ・シュヴァルはカベルネ・フラン75%、メルロー25%です。
ワイン自体の格がもちろん違いますが、カベルネ・フランとメルローの比率の違いも味わいに反映されているのかもしれません。
さて、シャトー・シュヴァル・ブランには沢山の逸話がありますが、私たちに最も身近な存在の日本の首相のお話をひとつ。
2001年のこと、小泉純一郎元首相がフランスを訪れたときに、フランスのジャック・シラク元大統領と会談をしました。
その時に午餐会でふるまわれたのが、シャトー・シュヴァル・ブランの1986年だったそうです。
それは、午年(うまどし)生まれの小泉元首相への敬意を払った最大のおもてなしでした。
心のこもった演出に小泉元首相は大感激したそうです。
全世界にはワインの銘柄が、何10万種類とも100万種類とも、それ以上ともいわれています。
しかもそれが年によっても違うとなったら、1本のワインとの出会いは運命のようなものです。
だから、誰と飲むのかが重要なのだと常々思います。
このワイン飲み頃かも?と思ったら、誰と飲もうか真っ先に考えてくださいね。
それが私だったら大喜び、絶対に