日本で開催されているラグビーワールドカップ。
大会期間中はビールがいつも以上に売れると予想されています。
試合開催都市の街中ではビールが無くなる可能性がある、という大げさな報道も。
英国発祥のラグビーを観戦するのにビールは欠かせません。
英国では「パブ」と呼ばれる地元の酒場でお酒を酌み交わす文化が根付いています。
試合開始の数時間前からパブで飲み始め、スタジアムに移動して応援で乾いた喉を潤し、
試合が終わればまたパブに繰り出してグラスを傾けるのが英国風。
ビール片手に試合観戦するのは世界共通のスタイルにもなっていますね。
日本のラグビーファンの記憶に残る試合といえば、2015年開催のイングランド大会。
日本代表が優勝候補の南アフリカに勝利したことで大いに盛り上がりました。
この大会では同会場で行われたサッカーの試合に比べて平均6倍以上のビールが消費され、
スタジアムと周りの飲食店で190万リットルが飲み尽くされたそうです。
350mlの缶ビールなら540万個。すごいですね!
ちなみに2007年フランス大会では、南アフリカとフィジーの試合があったマルセイユの街中にビールが無くなり、
2003年のオーストラリア大会では、アイルランドとオーストラリアのファンが集結したアデレードでビールが品切れ、
周辺地域に緊急支援を要請したそうですよ。
日本大会では公式スポンサーのハイネケン(Heineken)が販売されていますが、
28日に日本と戦ったアイルランドのビールといえばギネス(Guinness)です。
ギネスはグラスに注いだ時に生まれるキメ細かな泡のクリーミーさと
ローストした大麦が甘みと苦みの絶妙なバランスを醸し出す、黒ビールの代表格です。
このビールは1759年に首都ダブリンで誕生しました。
創業者のアーサー・ギネス氏(Arthur Guinness)は、当時使用されていなかった
セント・ジェームズ・ゲート醸造所を年間45ポンドで9,000年間の借り受け契約をしたそうです。
世界150カ国以上で飲まれているギネスは1日の総消費量がグラス1,000万杯。
実はギネスビールが多くの国で愛飲されているのには訳があります。
痩せた土壌で作物が育ちにくいアイルランドの土地。
18世紀に冷夏と天候不順による穀物の不作によって大きな飢饉が起き、
その後19世紀にもジャガイモ飢饉と呼ばれる不作で100万人以上の餓死者が出ました。
飢えに苦しんだ人々は母国を去ることを決意、人口の半数以上が新天地を求めて移民をしたのです。
移民をした人々が故郷を懐かしみながら飲んだのがギネスでした。
世界中のどこにいても最高のギネスを飲んでほしいという気持ちから、
いつでもどこでも誰でも生ビールのような泡を作ることができる工夫がされています。
缶を開けると、中に詰められたプラスチック・ボールから圧縮されたビールが吹き出し、
それがビールをグラスに注いだときにクリーミーな泡を完成させるという仕組みです。
『Guiness is good for you』
「ギネスは身体に良い」という宣伝用のキャッチコピーです。
現在ではこのフレーズは禁止されていますが、鉄分を多く含むという理由で妊婦さんにも勧めていたことがあったようです。
カロリーが1パイント(約568ml)あたり198キロカロリーとオレンジジュースよりも低いので
体重コントロールに良い結果が出るともいわれていました。
ビールでダイエット???
そして、ある研究では健康に有益だという検証結果もでています。
ギネスビールに存在する抗酸化物質が動脈壁に蓄積する有害コレステロールの速度を下げ、
心臓の健康に有効であるということが発見されたそうです。
何だか赤ワインの効能のようですね。
さて、次回のラグビーワールドカップはサモア戦。
サモアのビールは入手しにくいので、サモア風ココナッツミルクカレーをビールのおつまみに
テレビ観戦したいと思います。
録画を忘れないようにしないと!