覆面調査といえばミシュランガイド。
私がはじめて経験した星付きレストランはパリ8区にあるタイユヴァン(Taillevent)でした。
もう30年以上前のこと。
料理やワインのことはほとんど覚えていませんが、フォアグラのテリーヌに貴腐ワインのソーテルヌを合わせたことだけははっきりと覚えています。
フォアグラの塩味とソーテルヌの甘味が心地よく重なり合うペアリングに衝撃を受けました。
先日、ミシュランガイド東京2020年が発表され、三つ星11軒、二つ星48軒、一つ星167軒、合計226のお店が星を獲得しました。
2019年度版まで三つ星だった「すきやばし次郎本店」と「鮨さいとう」は一般予約ができなくなったためミシュランガイドの掲載対象外となったそうです。
ミシュランガイド東京は2008年に発表されてから今回で13回目を迎えますが、東京は流行の変化が速くお店の入れ替わりが激しいので調査員の方々も大変だと思います。
実はミシュランではないのですが、10年ほど前に覆面調査を経験したことがあります。
大手町駅に直結した商業施設がオープンしたとき、そこのレストランでオープニングスタッフとして働くことになりました。
オープンして一カ月くらい経過したある日のこと、女性3人のグループが来店されました。
そのグループが覆面調査員だったのです。
覆面調査員はミステリーショッパーと呼ばれ、お客さまのフリをして調査先の仕事ぶりをチェックするアルバイト的な仕事。
覆面調査員の女性はわざとかどうかはわかりませんが、お箸を床に落としたり飲み物をこぼしたり、ラストオーダーを聞いたのにも関わらず時間を過ぎてから「注文するのを忘れたから今からオーダーしてもいい?」と無理を言ったり。
難しいお客様だと思いながらもスタッフ全員で精一杯対応しました。
しばらくして、お店の責任者から調査が入ったことを明かされスタッフ全員が叱られる羽目に。
「サービス向上のため」ということは理解できましたが、あまりにも納得がいかない内容だったのでスタッフ全員で抗議したことを今でも覚えています。
ミシュランの調査員は全員プロなのでお店のスタッフを困らせるようなことは絶対にしないと思います。
ミシュランの星の付け方にご興味のある方はご存知だと思いますが、世界共通の5つの基準をもとに複数回の調査を行っているそうです。
その基準となる内容は
「素材の質」
「調理技術の高さ、味付けの完成度」
「料理の独創性」
「コストパフォーマンス」
「常に安定した料理全体の一貫性」です。
候補のお店は、本や雑誌、SNS、インターネット、業界の評判、年間4万5,000通も寄せられるという読者からのメールや手紙など、編集部に寄せられるすべての情報をもとに選ばれます。
掲載にあたっては、調査員、編集長、ガイドブックの総責任者による合議制で星の数が決められます。
19世紀末に誕生したフランスのタイヤメーカー「ミシュラン」が、1900年に出版したミシュランガイド。
ドライバーのために作られたガイドには、ガソリンスタンドや修理工場のリスト、美味しい食事を提供するレストランや宿泊施設が掲載され、1931年に星付きの評価が始まりました。
1956年フランス国外版として北イタリアを皮切りに様々な国や地域のガイドが出版されています。
そして2014年から掲載されるようになったのが日本の「ラーメン」の星。
ラーメン店が掲載されたおかげでミシュランガイドがグッと身近になったような気がします。
でもラーメン一杯に星をつけなければいけない調査員の方々が大変そう、、、。
さて、ワインを扱っている星付きラーメン店もありましたよ。
ラーメンとワインのペアリングも楽しそうですね。