GAP(ギャップ)といえば、アメリカ発の世界的なファッション・ブランドが頭に浮かびます。世界中に3,000店舗を超えるGAPの店名は、ジェネレーション・ギャップから名づけられたそうです。
でも、今回のテーマ「GAP」はブランド名でも言葉そのものの意味でもなく、食に関する「GAP認証」のこと。
先日、読売新聞に「五輪の食、制限下のもてなし」という記事が掲載されました。
2020東京オリンピック・パラリンピックの選手村で提供される食材は、農産物の安全性について定める「GAP認証」を取得していることが調達の基準となっているそうです。
食材は輸入に頼ることなく日本のものを提供し、海外からのお客様に和食や日本の優れた農産物をPRすることにも力を注いでいます。
GAPは「Good Agricultural Practice」の略称で、直訳すると「よい農業のやり方」、農林水産省では「農業生産工程管理」と呼んでいます。
安全で品質の高い農産物だけではなく、それらに携わる人々のことも考えた、持続可能な農業経営を実現する取り組みです。
農業は稲作・畑作・路地野菜・施設野菜・果樹・畜産など、すべてが地球環境と密接に結びついた産業です。
持続的に生産するためには、土・水・気温など自然環境を保つことが重要ですが、それらの環境を整えるのは人の力。
さて、ワインも農産物のひとつです。最近では「自然派ワイン」「ビオワイン」「オーガニックワイン」などの表記を目にすることが多くなりました。
自然派ワインやビオワインの解釈は大変難しく明確な定義がないのが実情です。
「ビオ」という言葉は「バイオ」のフランス語。
フランス語と英語をミックスした造語の「ビオワイン」は国際的な用語ではないのですが、日本では良いイメージとして扱われています。
「自然派ワイン」という表現は、自然に寄り添い自然の力を引き出して、土地や環境のことも大切にしながら造られるワインのこと。
自然という言葉が消費者の心をくすぐります。
無農薬や減農薬に関してもイメージは良いのですが、果たしてどの程度自然に沿った造り方をしているのかが判断できません。
100使っていた農薬を10まで減らしても、90まで減らしても減農薬と言うことが出来ます。
ところがオーガニックワインに関しては法的な規制があり、基準を満たしているワインだけに認証ラベルの使用が認められます。
ワインを含むオーガニック農法に関連する認証機関は、ユーロリーフ(EU)、AB(フランス)、エコセール(フランス)、USDA(アメリカ)、Demeter(ドイツ)、有機JAS(日本)などがあります。
日本の有機JASはJAS規格に則って生産されたものが対象で、国内で「有機」「オーガニック」「自然派」などの名称を表示するには「有機JASマーク」が必要になります。
東京オリンピック・パラリンピックで興味がわいた「GAP認証」の制度。
ワインなど農作物だけではなく「持続可能な地球環境」を守ることについて、もっともっと勉強を続けたいと思います。