朝はコーヒーを飲みながら新聞に目を通すのが日課です。
もちろんご近所のスーパーの特売チラシのチェックも忘れません。
チラッと見た求人広告の中に「牛丼吉野家」のパート募集がありました。
あっ、パートに応募しようと思ったわけではありませんよ。
業務内容が気になったのです。
販売スタッフではなく、千葉大学・柏の葉キャンパス内の施設で行う簡単な野菜栽培の仕事。
調べてみると、千葉大学に「環境健康フィールド科学センター」という施設があり、人と環境に優しいサイエンス農業の研究と実証が行われているとのこと。
6棟の太陽光型植物工場と4棟の人工光型植物工場が設置され、主にトマト、レタス、イチゴを栽培しているとホームページに記載がありました。
工場見学とセミナーが受講できるツアーを見つけたので、さっそく千葉大学に行ってみました。
セミナーの講師は千葉大学名誉教授の篠原温先生。
この工場を設立するにあたり篠原先生はオランダに視察に行かれたそうです。
オランダで有名なものといえば、チューリップ、風車、運河、チーズのゴーダやエダム、画家のフェルメールやゴッホなどが思い浮かびます。
余談ですが、ワイン造りは16世紀頃までが行われていましたが、ヨーロッパが寒冷期になると衰退、その後20世紀末にワイン造りが再開しました。
自国消費が多く生産量も少ないので日本の市場ではあまり見かけません。
さて、オランダの国土は九州とほぼ同じ、小さい面積のおよそ半分が海抜1メートル未満で、そのうちマイナスの場所が4分の1ある「海抜ゼロメートルの国」です。
オランダはかなりの小国ですが、実はヨーロッパの食を支える農業輸出国で、なんと農作物の輸出高が世界第2位なのだとか。
ちなみに第1位はアメリカです。
厳しい環境で農業大国に成長したオランダから学べることは沢山あると考えての視察だったそうです。
千葉大学の植物工場で学んだことは沢山ありました。
まず、トマト栽培施設では、温度・湿度・光量・二酸化炭素量・土などを細かく説明していただいたのですが、一番印象に残ったのは水です。
植物は水がなければ育ちませんが、使用した水の98%は回収され、濾過をして循環させるので補填する水は常に2%のみだそうです。
水不足の国でも植物が育つ環境を作れるのです。
そして、私が興味を持った(株)吉野家ホールディンクスでは人工光型植物工場で葉物野菜が栽培されていました。
均一に光が当たるように板状のLEDライトを使い、培養液は常時循環(廃液が出ない)、栽培室の入室には温湯シャワーとエアーシャワーを使用、清潔な専用の作業ウエアを着用(防護服にも似ているような)、収穫された野菜の梱包も工場内で行われます。
衛生的なので腐敗が早くなるような菌が混入せず、シャキシャキの新鮮な状態が長く続くのだそうです。
そして、一番驚いたのは建設業の(株)大林組が高効率農業プロジェクトとして人工光植物工場で野菜を育成していたこと。
フリルレタス、イタリアンパセリ、ルッコラ、ケールなどを栽培、すでに販売されているそうです。
私たちが何気なく食べている野菜が吉野家や大林組で栽培されたものかもしれません。
今はコロナ禍で行動範囲が制限されてしまいますが、機会があれば色々なところに勉強しに行きたいと思っています。