パン屋さんの前を通るとついつい買いたくなってしまうバゲット。
色々なお店のバケットを食べ比べると、香り、味、食感などが結構違います。
自分好みのバゲットに当たった時は本当にうれしい気持ちになります。
あるパン屋さんのホームページに
「原料は小麦粉と塩と水、そして酵母。シンプルな配合で作られるフランスパンはパン職人の腕の見せどころ」
と書いてありました。
確かに!
フランスにはバゲットに関する法律があり、材料は小麦粉・塩・水・酵母の4種類のみで長さや形も一律化されています。
長さ55~70cm、重さ250~300g、ちなみに小麦粉1kgに塩18g以下で作られます。
差別化するために工夫できるのは、自家培養の発酵種(天然酵母)を使ったり、生地の発酵時間を変えたり!
あとは職人さんの腕次第です。
フランスの家庭で最も食べられているバゲットは、細長い形から「棒」や「杖」を意味する名前になりました。
バゲットと同じ材料を使っても、生地重量や形状が変わると違うパンの名称になります。
大きくて重いドゥ・リーヴルはフランス語で「2ポンド」という意味。
焼き上がりの重さは850g、長さは55cm前後です。
「中間の」という意味を持つバタールは、バケットとドゥ・リーヴルのハーフ的なパン。
バケットと同じ重さでドゥ・リーヴルのように太く短く成型されます。
パリジャンは「パリっ子」、クッペは「切られた」、ブールは「ボール」、シャンピニヨンは「きのこ」、フィセルは「紐」など、イメージや形から色々な名前がつけられています。
でも何故、大きさや形が異なる多くのパンが存在するのでしょうか。
その理由は20世紀以前のフランスの統治政策と関係があるようです。
当時、主食であるパンの価格が変動すると社会が不安定になると危惧した政府は、パンの公定価格を決めて制度化しました。
何グラムのパンはいくら、と重さによって価格が細かく決められたそうです。
パンの重さは上部に入れた切れ目(クープ)の数を目安にしたそうですよ。
そういえばバケットにもバタールにも切れ目が入っていますね。
ヴィロン、ポール、メゾンカイザー、ル・パン・ドゥ・ジョエル・ロブションなど日本にも美味しいバケットはありますが、私が食べてみたいと常々思っているのはフランスで毎年開催されるバケット大賞「La meilleure baguette de paris」で1位になったパン。
パリ市内のパン屋さんであれば誰でも参加できる一番美味しいバケットを決めるコンテストです。
このコンテストはお店ではなくパン職人個人で争われます。
優勝者への賞金は4000ユーロ、そして大統領官邸エリゼ宮に1年間バゲットを納められるという栄誉付。素晴らしいですね。
2022年に優勝したのはブランジュリー・パティスリー・フレデリック・コマンのダミアン・ドゥダン氏でした。
このパン屋さんは日本には出店していないみたいです。
パリに行って食べるしかないかも。