Fumifumi談義~ブドウ栽培の工夫~

世界規模で様々な影響を与えている地球温暖化。

今の地球は過去1300年の間で最も暖かくなっているそうです。

現在のペースで温室効果ガスの排出が進んだ場合ですが、現在と比較した日本の平均気温は2050年頃にはおよそ2度程度、2100年頃には4~5度程度、気温が上昇すると予想されています。

地球温暖化は気温が上昇するだけではなく、海面の上昇、降水量の変化による乾燥化の進行、台風やハリケーンなどの熱帯性低気圧による洪水や高潮などの被害をもたらします。

そして、ワイン造りへの影響も。


ワイン用のブドウは、その土地の気候条件に合ったものを選択することが重要といわれています。

一般的には「北海道は冷涼なのでドイツ系品種」、

「塩尻は湿潤なのでメルロ」など、

「適地適品種」という考え方が取り入れられています。

ところが気候条件が大きく変わった場合、今まで栽培してきたブドウ品種が適合しないということもあります。

その上、温暖化による猛暑が与えるブドウへの悪影響も心配です。


例えば、黒ブドウは暑さの中で成熟が進むと皮の色づきが悪くなります。

ブドウ全般にいえることですが、ワインにとって重要な香りや酸味の成分も乏しくなるため品質への影響も懸念されています。

気候の変化に対応するためにブドウ品種を変えるのも一案ですが、そうそう簡単に植え替えはできません。


そこで、山梨大学ワイン科学研究センターの岸本宗和准教授が、猛暑の影響を受けないブドウ栽培の研究を行ったそうです。

その研究は、副梢(ふくしょう)を生かした栽培方法。

通常、4月頃に発芽して成長した新梢(しんしょう)と呼ばれる枝にブドウの房が付いて8月頃着色、9月にかけて成熟します。

岸本准教授が考えた栽培方法とは、5月頃に新梢の先端と実ったばかりの房を切り落としてブドウの成熟期を晩秋に遅らせるというものでした。

新梢を切り落とすと近くから通常では生えない副梢という枝が出てきます。

副梢に新たな花の蕾が出来て開花、房が実るのを待ちます。

通常の栽培に比べ成熟するまで1か月半ほど遅くなるそうです。

研究の結果、副梢の場合も新梢とほぼ同じ大きさの房に成長、酸味がきれいに残ったブドウが収穫できました。


それにしても実ったブドウ房をすべて落としてしまうという斬新な栽培方法を考えるとはすばらしいですね。

ただ、副梢栽培は試験的な栽培が始まってから数年ということもあり、病気や大雨の対策が必要で本格的な導入に向けた課題は残されているそうです。

これからもずっと美味しいワインが飲みたいので、少しでも地球の温暖化が防げるよう、私も小さいことからコツコツと実践していきたいと思います。