キツネがシンボルの稲荷神社はお稲荷さんやお稲荷さまと親しみを込めて呼ばれています。
私が大好きな神社は多くの赤い鳥居が連なる「伏見稲荷大社」。
伏見稲荷大社は全国にある稲荷神社の総本宮で、願いが叶ったお礼として奉納された赤い鳥居は一万基を超えるそうです。
稲荷神社の拝殿前や参道の要所に鎮座するのが石像のキツネです。狛犬(こまいぬ)もいるのですがほとんどが狛狐(こまぎつね)。
あくまでも私見ですが、犬は人間に対して忠実で正義感溢れるイメージ。
子供の頃に読んだイソップ童話に影響されているのかもしれませんが、キツネは人を騙すズル賢い動物。
そんなキツネが神聖なる神社にいるのはなぜ?といつも思っていました。
稲荷神社の神様は稲を象徴する穀霊神、農業と深く関係している農耕神です。
稲作が大陸から日本に伝わってから何千年もの間、日本人の胃袋を満たしてくれた米は命の源。
「お米を作ってくれた農家の皆さんに感謝して、ご飯は一粒残さず食べなさい」と子供の頃から教えられてきました。
では、稲荷神社の神様はキツネなのでしょうか?
キツネは神様の使者、難しい用語では眷属(けんぞく)といいます。
眷属に抜擢されたのは、穀物を食い荒らすネズミを捕食してくれること、毛色や尻尾の形が実った稲穂に似ていることなどが理由のようです。
知った時はゾッとして鳥肌が立ちましたが、稲荷神社のお供え物はキツネの大好物「ネズミの天ぷら」だったとか。
時代とともに豆腐を使った天ぷら「油揚げ」をお供えするようになりました。
だから油揚げを使う料理の名称が「稲荷」になったのですね。
油揚げを使う稲荷寿司は、日本を東西に分けると東は圧倒的に長方形が多く、西は三角形をしています。
東が長方形なのは五穀豊穣の神をまつることに由来、米俵に見立てているとのこと。
西が三角形なのは伏見稲荷大社にある稲荷山の形、もしくはキツネの耳をかたどったという説があります
味も異なり、東は濃口醤油で味付けするので色が濃く、中身は白い寿司飯のみで胡麻や麻の実を混ぜる程度。西は淡口醤油を使うので色が薄く、寿司飯に人参・椎茸・ささがきゴボウなどを煮たものを混ぜて具沢山にします。
地方色も豊かで、青森県津軽地方では紅生姜とクルミを混ぜたピンク色のご飯を使うそうです。茨城県笠間市では油揚げに蕎麦を詰めた稲荷寿司があるのだとか。
さて、2月最初の午の日「初午」に稲荷寿司を食べると福を招いて願い事が叶うそうですよ。
2023年の初午は2月5日。
この日の晩ゴハンは稲荷寿司に決定です。
あっ、2月3日の節分には恵方巻も食べなくちゃ!
稲荷寿司と恵方巻の両方を食べると運気が倍増するかもしれませんね。