マーマレードはオレンジの果皮で作ったジャムのこと。
でもオレンジジャムと呼ばないのはなぜ?
日本のJAS規格では、ジャム類はジャム・マーマレード・ゼリーに大きく分類されます。
原料が柑橘類で果皮を含むものをマーマレード、果実片を入れず果汁だけを使用したものがゼリーです。
ジャム類の中のジャムはマーマレードとゼリー以外のものと規定されています。
マーマレード誕生について調べてみたのですが諸説あり真実はわかりませんでした。
18世紀、スペインのオレンジ輸送船が暴風雨に見舞われてスコットランドの北海に面するダンディーの港に一時避難をしました。
船に積み込まれていた大量のオレンジは地元のケーキやビスケットを販売している商店店主に二束三文で引き取られたそうです。
ところがそのオレンジは酸味と苦味が強いセビリア産でした。
オペラの「セビリアの理髪師」で有名になったスペインのアンダルシア地方の町がセビリアです。
セビリア産オレンジを砂糖で煮詰めてジャムを作ったところ人気商品になったそうです。
もともとマーマレードはポルトガルのマルメロという小さなカリンのような果物を原料にしていました。
マルメロは強い酸味と独特な渋味があり繊維質で硬いため生食には向いていません。
加熱調理をすると酸味や渋味が飛んで柔らかくなり、爽やかな香りと風味を楽しむことができます。
マルメロから作られたジャムはマルマラーダと呼ばれ、それがマーマレードの語源になりました。
さて、セビリアでは毎年約1万5000トンのオレンジが生産されているそうです。
国内で消費されることはほとんどなく、英国に輸出されてマーマレード加工用に使用されます。
春のセビリアはオレンジの花の甘い香りに包まれます。
ところが冬になると約5万本もの木々から大量のオレンジの実が路上に落ちるそうです。
旬を迎えたオレンジの実は輝いて美しいのですが、過熟になって落下したオレンジは車にひかれて果汁が飛び出し道路がベトベトに。
真っ黒になるほどハエもたかるので掃除が欠かせません。
なんと、オレンジ拾いと掃除に約200人ものスタッフが雇用されるそうですよ。
そこで、不要なオレンジからまったく別の産物「電力」を作るという仕組みが発案されました。
オレンジの実が発酵するときに生じるメタンを使うとクリーンなバイオガスが生み出だされます。
地元の水道事業者もオレンジからクリーンエネルギーを生成して市内の浄水場の動力に使っています。
すでに有機物を使う発電設備があり、オレンジはその設備に投入されてメタンガスを回収し発電機を稼働させるという仕組みです。
もし市内のオレンジがすべてリサイクルされて、その電力が電力網に戻されると約8万世帯に電力を供給できることができます。
近い将来、町全体のオレンジがすべてリサイクルできるようになるそうです。素晴らしいプロジェクトですね。
オレンジの香りにはリラックス効果があり緊張をほぐしてくつろぎ感を与えてくれます。
含有成分のリモネンは油汚れを落とす効果があり掃除に最適です。
その上、電力発電にも一役買うなんて!オレンジは偉大な果物です。